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環境問題について

コロナの影響なのか、以前ほど温室効果ガスやオゾン層の破壊という言葉を聞かなくなりました。しかし、人類が近い将来直面するであろう課題として環境問題は避けて通れない時期にきています。各国の指導陣も環境については強い問題意識があり、アメリカのバイデン政権は「国家安全保障」と「外交政策」における優先考慮事項に気候変動をあげています。日本においても同様にメディアや企業がSDGs(持続可能な成長目標:Sustainable Development Goals)という言葉を意識して使用していますね。これほどまでに世界が環境問題に注目しているのは、災害の規模が巨大となり、脅威が顕在化してきたからだと思われます。

日本では毎年のように降水による大規模災害が発生しています。隣国の中国でも大雨によるダムの決壊が発生し、多くの人が被災しています。先月(2021年6月)、アメリカやカナダの西岸では、ヒートドーム現象により歴史的な熱波が発生し、49.5℃という信じられない気温を観測しました。それによりカナダでは130人が亡くなったのも記憶に新しいですね。

今回は、環境問題について公になっているデータをもとに分析し、自分の考えをまとめていきたいと思います。

平均気温の上昇

以前、「北極の氷が溶けたとしても海面は上昇しない」という説を耳にしたことがあります。コップの中の氷が解けても水面が上がることはないからだ、という考え方です。幼い頃はなんとなく納得してしまっていましたが、シベリアの永久凍土や南極大陸の氷が融解した場合は話が違うのではないか、と幼心に疑問に思ったことを覚えています。果たして地球の平均温度は上昇しているのでしょうか。

気象庁のデータを見ると、2020年の世界の平均気温は1891年の統計開始以降、2番目に高い値でした。たまたま昨年が高温であった訳ではありません。平均気温の偏差でみると見事な右肩上がりです。

図1

図1のとおり、世界の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり0.72℃の割合で上昇しています。また、最近の2014年から2020年までの値が観測史上の上位7番目までを占めています。そのため、確実に地球温暖化は進行しているといえます。

「温暖化」と「温室効果ガス」は優位な相関関係があると思いますが、「温室効果ガス」は増加しているのでしょうか。。温室効果ガスで最も割合が多いのは二酸化炭素の約75%ですので、二酸化炭素の排出量の推移について日本原子力文化財団の資料を用いて確認していきましょう。(温室効果ガス=二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、フロン等)

図2

予想通り、平均気温の上昇と二酸化炭素の上昇は優位な関係があることが見て取れますね。2018年と1971年の二酸化炭素排出量に比べると2.3倍以上になっています。そして、2010年頃から中国が経済発展とともに排出量が増加していることが分かります。

経済成長は国民の生活水準を上げ、より便利な生活を求めることになります。今後、中国の人口を抜くであろうインドや、人口増加が著しいアフリカ大陸でも経済発展が見込まれており、中国と同様に国民の生活水準の高まりに伴い、二酸化炭素の排出量がさらに増加することは容易に想像できます。

一方で、先進国の排出量は頭打ちにあっているように見えます。しかし、決して自助努力が成功しているという単純な話ではありません。我々の豊かな生活を支えるために、途上国において多くの資源が採掘され、その資源を先進国は享受して便利な生活を成り立たせているのが現状です。

このように、環境問題においては国単位での調査結果が真実を反映しているとはいえません。だからこそ、国家と個人が高い意識を持ち、かつ、グローバルな枠組みの中で改善に取り組む必要があるのです。

今後どうなるのか?

何も対策を取らない場合、どのような未来が待っているのでしょうか。各種データから調べた内容を簡単にまとめてみました。

  1. 今後も温暖化が続く
  2. 北極の海氷の融解が始まる
  3. 北極の氷が解けることで太陽光の反射が減り、放熱せず地表の温度が上昇する
  4. シベリアの永久凍土が溶ける
  5. 氷に含まれるメタンガスが排出される(二酸化炭素よりも21倍の温室効果がある)
  6. さらなる海面上昇及び気温上昇
  7. 太平洋及びアマゾンにある熱帯雨林がサバンナと化す
  8. 自然が減少することにより大気中の二酸化炭素の排出量が増加
  9. 南極の氷が溶ける
  10. 今まで住めていた場所が海中へ

想像したくありませんが、地球の自浄作用が働く限界点を超えた場合は、雪崩を打ったように環境が悪化するのではないかと危惧しています。環境問題で代表的なものに、地球温暖化、海洋汚染、大気汚染、水質汚染、森林破壊が挙げられますが、これらは各個に解決できるものではなく、それぞれの問題が相互に影響し合って悪化するものだと考えています。全ての問題に対して高い関心を持って取り組まなければ、今後生まれてくるであろう子孫が非常に劣悪な環境で生きることになるかもしれません。私たちは今日の便利さを手放すことは難しいかもしれませんが、一人ひとりが当事者として真摯に対策をしていかないと手遅れになってしまいます。

とみおか自然農園が取り組むこと

自然環境を相手に一個人の農家ができる取り組みは限られていると思います。ただ、私は自分が実施している農法は自然に寄り添い環境を改善できるものと信じています。私が重視しているのは地中の微生物を活性化させ、自然環境と野菜が育つためのバランスをとることです。地中の微生物は目に見えない形で土壌を改善してくれ、そして土やそこに住む昆虫、野菜に良い影響を与えてくれています。

私の畑では、山からかき集めた落ち葉や地元の川辺でとれた刈り草を、時間をかけて発酵させ堆肥としています。実は、堆肥とするにも微生物の力を借りています。微生物の力を活性化させ土壌改善をし、さらにそれを広げていくことで地下水にも良い影響を与えています。地下水が汚染されなければ、地元の川や海の水質を良好に保つことに繋がり、水質環境が改善されれば近海の海洋資源にも良い影響を与えられるのではないかと思っています。

また、私自身の野菜作りへのこだわりとして黒マルチ(畑のうねを黒のビニールシートで覆うこと。土壌水分の蒸散を抑える効果があります。)を使用しないことを意識しています。マイクロプラスチック製のものは土に還らず、長期間に渡って畑に残置されます。それが害虫を発生させたり、地中の微生物を死滅させたりしてしまうので、極力稲わらを敷きつめてマルチングしています。こういった行動によって環境が劇的に改善されるか分かりませんが、私は自分の農法を通じて地元の自然環境を守っていきたいと強く願っているのです。

自然農法によって育った野菜が皆様の食卓に並び、食をきっかけに環境問題に興味を持っていただければ、これ以上の喜びはありません。私の農法は大量生産が難しく、土壌が肥えるまで極めて時間の掛かるやり方です。この非効率な方法でどこまで挑戦できるか分かりませんが、私の自然環境及び野菜に対する考えに共感し、オーガニック栽培を志す仲間を増やしていければと本気で考えています。

一人で何かを成すことは難しいかもしれませんが、草の根を分けるが如く一歩一歩前進して規模を拡大し、地球環境に還元していきたいと思います。

とみおか自然農園 スタッフ